琉球古典音楽の2大流派は安冨祖流と野村流です。安冨祖流は師匠の口伝によるレッスンと抑揚のある節回し、手の使い方などに特徴があります。対して野村流では三線譜(工工四)に声楽譜がついているため自学自習が可能であり、多くの会員を増やすこととなりました。しかし声楽譜の見方や楽譜に書かれていない部分、バチ(爪)さばきなどは師匠からきちんと指導を受ける必要があります。安冨祖流と野村流のあいだには大きな隔たりはなく、一部の曲を除いて合同で演奏することが可能です。湛水流は17cの三線演奏家湛水親方が伝えたものとされ、9曲のみが現在まで伝承されています。
流派にはそれぞれいくつかの団体(会)が存在します。湛水流保存会と湛水流伝統保存会。安冨祖流絃聲会と安冨祖流絃聲協会。野村流音楽協会と野村流保存会、野村流松村統絃会、野村流伝統音楽協会。またそれぞれの団体は沖縄の2大新聞社(琉球新報と沖縄タイムス)と密接な関係にあり、毎年多くの人が新聞社主催のコンクールに挑戦しています。
こうした団体への入会は任意とはいうものの、参加することにより舞台出演へのチャンスが生まれます。ただし団体を選んで入会するというよりは、入門した自分の師匠が所属する団体に加わることになります。 楽曲は同じですので入門者がさほどこだわる必要はないですが、日頃の演奏仲間は必然的に同じ所属会のメンバーで構成されることとなります。25年前に沖縄に県立の芸術大学ができてからは、流派・所属団体の垣根をこえた指導と演奏活動がおこなわれています。